KunadonicSkate
■FigureSkate/フィギュアスケートFAQ●フィギュアスケートにまつわる?にお答えします
~意外と知らないフィギュアスケート豆知識Q.スケートは体力が必要ですか?年齢は?
A.スケートは老若男女、誰でも楽しめるスポーツです。
スケートというくくりは広く、広義で言うなら難しいものももちろんあります。しかし、一般的なプレーンスケーティング(基本滑走)であれば、幼い子供からお年寄りまで、どなたでも楽しむことが出来ます。
慣れない人は、普段使わない筋肉に力が入ったり、恐怖心からどうしてもガチガチになってしまいます。その為、極度の疲労感に襲われることが多いです。しかし、正しい通常の滑走では、体力はほとんど消耗しません。それは、水泳や自転車と同じようなものです。自転車に乗る場合も、ゆっくり走れば歩くよりも楽です。水泳もゆっくり泳げば、心地よく泳げます。それと同じです。自転車も水泳も、まだ慣れない子供などは、上手に出来ない為に相当疲れるのが通例です。スケートも、重心のコントロールが出来るようになってくると、快適に滑れるようになります。もちろん、ジャンプなどはお年寄りには難しいです。でも、スケートを続けていらっしゃる年配の方は大変多く、70代の方々も頑張っておられます。そうした方々は、不思議と姿勢も正しく、普段の歩き方も奇麗です。スケートのもたらす高度なバランス感覚と、基本滑走による筋力の維持が、その下支えになっているのでしょう。健康な体を保つ日頃のスポーツとしても最適だと、私は考えています。普段あまり使わない筋肉に刺激を与えられますし、高度なバランス感覚は転倒防止にも繋がります。
ある程度慣れているのに、どうしても疲れてしまうという場合は、どこかしら無理な姿勢をされているかも知れません。本来のプレーンスケーティングは、最低限の力で滑走できるものです。
Q.靴紐はどうやって通せば良いですか?
A.一般的にはアンダーラップで通します。
ハイカットのブーツやバスケットシューズと同じ通し方になります。専門的な表現ですと、「アンダーラップ」という通し方になります。一番つま先側が穴の下側になり、表側の紐がつま先からかかとに向かうように出る通し方です。フィット感に優れ、履く時に締めやすいため、履きやすい通し方です。他の通し方に比べ若干ゆるみやすいのが欠点です。
同じような結び方に、「オーバーラップ」というのがあります。アンダーラップとは通し方が全く逆になります。オーバーラップは若干履きにくい反面、解けにくい(緩めにくい)という感じになります。何故アンダーラップが適しているかというと、やはりそのフィット感にあると思われます。オーバーラップで通すと、履いているうちに段々と、くるぶしが締め付けられるような感じになります。緩む恐れはないものの、スケートの場合足に不要な負荷をかけてしまう可能性があります。足首にはある程度の自由度が必要で、段々と締め付けられるよりは、段々と緩んでくるような通し方のほうが適しているのだと考えられます。
一番下の穴だけは、オーバーラップにしている場合が多いです。その理由は、指先にゆとりを持たせやすく、指の根元付近(一番下の穴と二番目の穴の間)を軽く締めておけるからだと思われます。その他の通し方(パラレル・シングルなど)は、まずありえません。フィット感が悪く締め加減を調整しづらいからです。
但し、靴の形状やその人の好みで、大きく変わる部分でもあります。場合によっては、オーバーラップの方が適しているということも、あるかも知れません。
Q.エッジはどうやって研ぐのですか?
A.砥石で研ぎます。
手研ぎと機械研ぎの二種類がありますが、砥石を使うのは同じです。一般的に、機械研ぎは安くて早く仕上がりますが、荒削りになります。手研ぎはお金も時間もかかる反面、滑らかに仕上がります。
通常は機械研ぎでも問題ありません。最初は滑りが悪くても、ある程度滑っていると刃が馴染んで、滑りやすくなるからです。但し、機械研ぎは深く削れる傾向があり、エッジの寿命を考えると、こちらの方が短命です。手研ぎは滑り出しからすぐに分かりますが、大変滑らかです。削れる量も少なく、エッジに優しい研ぎ方です。頻繁に研ぐなら、手研ぎを推奨します。
私の考え方ですが、通常機械研ぎを用いるべきなのは、錆が進行している場合と、刃の欠けがひどい場合です。この場合は、手研ぎで本来の刃の状態に戻す事が難しくても、機械研ぎなら比較的早く確実に復元できるからです。しかし、そうなってしまう前に、きちんとした手入れと刃の保護を徹底するべきでしょう。研ぎ方以前の問題です。手研ぎなら、自分で研ぐことも可能です。手研ぎは難しいといわれていますが、慣れればそれほどでもありません。但し、失敗する恐れはゼロではないので、特に慣れないうちは慎重に行ってください。失敗すると、エッジの寿命を一気に縮めたり、場合によっては修復困難となる可能性もあるからです。最初、一度は必ず慣れた人に教わって下さい。
尚、研ぎ方に関する解釈も多様です。常に研ぎたてのフィーリングを好む方もいますし、全く研がない方もいます。研いでもあまり変わらないという方もいますし、研いだ途端に調子が良くなる・悪くなるという人もいます。
広く言われているのは、「横滑りし始めたら研ぐ」という点です。当たり前といえば当たり前ですが、これも解釈としては「エッジワークが浅い」ために横滑りしやすくなる、とも言えます。つまりは、エッジワークの浅い人は、比較的頻繁に研ぐ必要性があると考えられますし、逆にエッジワークが深い人はそれ程研がなくても横滑りはしにくいわけです。研ぎ方に神経質な人はむしろ、エッジワークが甘いという構図も見えてきます。また、研ぎたての刃は氷に食い込みすぎてスピードが出ないという方もいます。実際の研ぎ方についても千差万別です。ご自分で研ぐ方の話では、番手の細かい丸砥石で研ぐ、普段は側面だけ研ぐ、刃の全体を均一に研ぐ、部分部分を細かく研いでいく、等々…様々です。
門外不出とも言われるエッジシャープニングの技は、実の所「磨り減った刃の状態」を見て、その人の滑りを判断し、最適な研ぎ方を導き出すというものだそうです。刃の減り具合を見れば、その人の滑りまで分かってしまうという、職人の世界らしいです。初心者でエッジワークが甘ければ、深めにきちんと研ぐ事になるでしょうし、上級者であれば刃面に鏡面処理を施すように、緻密な研磨処理でより滑りをよくするといった、マイスターならではの加工を施すかも知れません。この研ぎ加減の難しさが、「プロに任せるべき」という考え方の根拠になっていると思われます。結局研ぎ方には、正解と呼べるものは、なさそうです。不安であればフィギュアのシャープニングマイスターに依頼するべきですし、自分で手加減しながらベストの研ぎ方を編み出していくというのも、一興かと思います。
Q.エッジの溝の深さはどのくらい?
A.一般的にはROH11~13mm程度となります。
11~13mmといっても、それは溝の深さではありません。溝を掘る時に使う、丸砥石の太さを表しています。この太さの丸砥石によって、4mm幅のエッジに溝が掘られます。エッジのカタログなどでは、ROH(Radius of Hollow)と表現され、単位はインチです。一般的にはROHが7/16(約0.44インチ)、ミリに換算すると11mmとなります。これが、市販されているブレードの、最初の溝の状態となります。
ところが、この太さの丸砥石は市販されていません。通常、良く用いられるものは13mmの太さです。それより細いものは9mm前後、太いものは16mm程度でしょうか。これらの丸砥石を使い分ける事により、溝を深くしたり浅くしたりの調整が可能です。しかしながら、溝の深さそのものは、フィギュアの滑りにはあまり影響しません。氷にどれだけ刺さるかが決まる要素なので、ホッケーでは意外と問題になります。ホッケーの場合は、ブレーキ力の多少に影響します。フィギュアの場合は精々スピンに乗りやすいかどうか、多少影響を受ける程度です。13mmの丸砥石で通常は何ら問題はありません。
Q.どのブレードが最適ですか?
A.その人の技量と方向性によって決まります。
ブレードの種類を大別すると、まず「レジャー用」、続いて「初級者用」があります。それ以上となると、細かく色々なタイプに分かれていきます。例えば「高度なジャンプ向き」とか、「スピン・ステップ向き」、「ジャンプとスピード滑走向き」、「ダンス向き」、「シンクロ向き」等、それらがさじ加減で吟味されています。
「レジャー用」は、ここでは論外と断言します。これは貸し靴用と考えて構いません。最初の練習にはこれでも構いませんが、概してバックが困難で、スピンやターンの練習もかなり難しいです。要するに、直進前進滑走をしやすいように作られていて、それ以上の滑りを犠牲にしているのです。
「初級者用」は、スケートを本格的に始めようと思った段階に最も適しています。教室で最初に勧められるのも、これです。代表的なものは、イギリス製John Willsonの「コロネーションエース」というブレードです。大抵どんなスケート教室でも、どんな先生でも、まずこのブレードを推奨するはずです。他にも同クラスのブレードはありますが、歴史的にもこのブレードは信頼性が高く、先生たちもまた、これで練習してきていますし、オリンピックの選手達もこのブレードで相当の練習を積んでいるのも事実です。
レジャー用との最大の違いは、バックやターンがやりやすくなっているという点です。エッジのカーブは黄金率と言ってもいいような、いわゆる標準的なカーブが採用されています。ジャンプの練習も意識していて、レジャー用と比べてかなり大きなトゥピックが付いています。コンパルソリーの試験を受けるには、最も適しています。それだけ基本に忠実なエッジといえます。
中級~上級となると、初心者用のブレードでは限界が見えてきます。高いジャンプを飛ぶための速度を出すには、やはりそれなりのブレードが求められます。スピンや高度なステップをするには、かかと側のカーブも重要になってきます。アイスダンスの場合、トゥピックが邪魔にならないよう、小さく作られています。アイスダンス用・シンクロ用は、一見してわかりますが、テール部分が切り詰められていて、ぶつかり難いようになっています。選手や競技の要求に合わせて、色々なブレードがあります。自分の技量や方向性を考えながら、必要なものを買いましょう。
「初級者用」からそれ以上のブレードに換えるタイミングは、ダブルジャンプを飛ぶようになった頃とよく言われますが、ダンスなどジャンプと関係ない競技ですと、基準になりません。方向性が明確なら、より高度な技に近づく為に、早めに換えても良いと思います。その方が、自分のやりたい技を早く習得できる為、結局得です。何かしらの技を覚えようとして、それが中々上手くいかない場合などは、エッジが適していないという事もあると思います。それこそ、変更するタイミングかも知れません。ただし、上級者用は使いこなすのが難しい側面もあります。ギリギリの性能を追求していて、初歩的な技が完璧に出来る事を前提に作られているからです。練習用として高価なブレードを購入しても、習得が困難になるだけです。しっかり基礎を固めて、最低でも中級レベルに到達してから検討するのが大前提です。
もっとも、方向性が定まっていないなら、「初級者用」でも構わないと思います。オールラウンドに作られている為、大抵の技は出来るように作られているからです。
Q.どの靴が最適ですか?
A.その人の技量と方向性によって決まりますが、ブレードほど厳密ではありません。
ブレードは技量と方向性が一致しないと使いこなせませんが、靴にもその傾向はあります。但し、ブレードのような絶対的要素は少なく、安物買いをするくらいなら高いものを買ったほうが、確かに持ちます。高価な上級者用の靴は、多回転のジャンプに耐えられるような作りになっています。言い換えれば、とても硬い靴です。しかし、使い込んで慣れてくれば、硬い分長持ちするとも言えます。頑丈な作りという事は、それだけ耐久性も高いです。
逆に、初心者用の靴は革が薄めで、すぐ慣れる反面ダメになるのも早いです。靴擦れや豆などが出来やすいのも、安い靴です。安価な靴は、メリットよりもデメリットが多いのも事実です。
使いこなすべきはエッジです。ブレードはむしろ、自分自身に確実に合わせる必要があり、適確に選んだブレードの能力を引き出せるかどうかは、靴にかかっています。靴で滑る訳ではないので、無理なく足に合うものであれば、それがベストです。良い物であれば、結局長く使えますので、得だとは思います。しかし、精々バックやクロスの練習をしている程度なら、貸し靴程度でも何ら問題はありません。その段階であれば、転ぶ可能性も高いため、安めの靴をボロボロにするつもりで練習するのも手です。私流に言えば、安い靴をボロボロにするほど練習すれば、次に買うランクの高い靴も、その価値を存分に生かせるはずです。
その際はブレードを移植すれば、安く済みます。最初にコロネーションエースあたりの、初心者向けエッジを付けていたなら、当分それで充分です。人によっては一生それを使い続ける人もいます。ブレードは半永久品に近いですが、靴は消耗品です。
靴によってジャンプが飛びにくくなくなるとか、スピンがやりづらいという話は、ない話ではありません。特に問題となるのは、かかとの高さです。日本製の比較的安い靴は、かかとが低めです。上級者向けはかかとの高いものが多いです。このかかとの高さは、慣れている人でもかなりの差になります。かかとの低い靴から高い靴に変えた場合、バックがしにくくなるかも知れません。
Q.エッジのメンテナンスは?
A.日常の手入れは確実にしてください。
ブレードは鉄で出来ています。メッキがしてありますが、刃の部分は研いであるので、水分が付いたまま放置すると錆びてしまいます。滑った後は、タオルや雑巾で水分を良くふき取り、刃の部分に数滴油をひいておくと、数ヶ月錆びる事はありません。さらに、布製のエッジカバーを被せておけば万全です。
もし錆びてしまったら、研ぐ必要があります。軽い錆なら、砥石を数回当てるだけで取れてしまいます。もし、深く錆が入っているようなら、機械研ぎが必要です。もしそれでもダメな場合は、諦めるしかありません。
メッキは剥がれてしまう事があります。もし剥がれてしまっても、支障はありません。刃と同様に、油をひいておけば大丈夫です。
Q.靴のメンテナンスは?
A.神経質になることはありませんが、新品の奇麗さは手入れ次第で維持できます。
靴にはどうしても、傷が付いていきます。鉄の刃が擦れたりするわけですから、仕方ありません。よく、靴の傷みは練習で付いた「勲章」のようなものだと仰る先生もいます。まさにその通りで、傷んだ靴を履いている人ほど、上手なのは確かです。
とはいえ、大事に使いたいという気持ちも当然あるでしょう。ブーツカバーを普段かぶせて練習すれば、傷つきから守ることが出来ます。経年劣化については、ある程度は直せます。汚れは、革靴用のクリーナーで落とせます。塗装の剥げは、靴クリームである程度補えます。クリームは通常は一切不要。付けすぎて、革が柔らかくなると、貸し靴のようにグニャグニャになっていきます。どうしても磨きたい場合は、クリームを爪の先で引っかいた程度の量だけ、奇麗な布に付けて磨くといいです。それ以上付けると革が痛みます。その量で充分に艶が出ます。
良く磨かれた靴は、汚れも付きにくく、いつまでも奇麗です。クリームを付けて艶を出すと考えずに、表面に薄い乳液のコーティングをすると考えると、いいかも知れません。車で言うなら、ワックスですね。大量に付ければ良いという物ではありません。
存分に練習した後は、靴の中が汗で濡れていることもあります。こうした水分は、靴を確実に傷めます。中敷のある靴は、中敷を取り出します。靴用の脱臭乾燥剤を中に入れておくと、臭いも取れて一石二鳥です。オドイーターなどスプレー消臭も効果があります。とにかく、風通しの良い涼しい所に保管するのが一番です。
Q.エッジの取り付け位置は、どうやって決めるのですか?
A.諸説あります。しかし結局決めるのは、滑る本人だと思います。
エッジの取り付け位置には基本も王道も、鉄則もありません。しかしそれでは、エッジを付けた状態で靴を売ることが出来ません。セット靴などの場合は、靴の縫い目をセンターと見立てて取り付けられます。しかし、実際にそれが履く人のセンターだとは限りません。足の形には個人差があり、特に日本人は西欧人と大きく足の形が異なります。
まずブーツの形状を見極める事が大切です。本来なら、足の形に合わせてブーツを選ぶべきなのですが、種類の少ないスケート靴の場合、それは困難を極めます。足型を取って作ってもらう特注靴ならともかく、基本的にはその靴の傾向と足の形を組み合わせて考える必要があります。その為、取り付けと位置調整の際は、必ず実際に履いてみて確認しながら、作業をしなければなりません。
最初に、足の形の分類です。一番長い指に注目して下さい。親指が一番長いなら「エジプト型」人差し指なら「ギリシャ型」となります。エジプト型は、日本人に一番多い形状かも知れません。ギリシャ型は、西欧の人に多いかと思われます。個人差もあり、厳密に区別しにくい方もいらっしゃいますが、大抵このどれかに当てはまるはずです。
靴の形状としては、「ラウンド型」か「オブリーク型」、もしくはその中間が多いと思われます。
ラウンド型は、中指もしくは人差し指を頂点とした、左右対称なカーブを描く形状です。足の形としては、「ギリシャ型」の方に適しています。この場合のエッジのセンターは、中指、もしくは若干人差し指寄りになります。セット靴の大半はこのタイプで、貸し靴もこれに準じます。エッジは大抵センターとなる縫い目に合わせて付けられていることが多いです。足の細めなギリシャ型の足の場合、親指自体の踏ん張りはあまり強くない方が多いかも知れません。オブリーク型は、親指から人差し指あたりを頂点にカーブを描く形状です。海外製のブーツで、日本人向けに幅広サイズとなっているものには、このタイプが見られます。足の形は「エジプト型」が適しています。エッジセンターは親指と人差し指の間になることが多いですが、中指にセンターを取る人もいます。この足のタイプは東洋人の典型でもあり、草履や下駄を履き慣れた日本人であれば、親指と人差し指の間に最も力を入れやすく、ここに重心が来る方が多いです。もちろん個人差がありますので、自分の位置がずれていたとしても、おかしなことではありません。
かかとのセンターは、ほとんど個人差がありません。アキレス腱からかかとの延長線を真っ直ぐ引き、その真下がセンターとなります。これは、どの靴、どの民族も同じです。但し、かかとの高い靴の場合、その中心線がずれて斜めになっている場合があります。その場合は、かかとの位置に関わらず、実際に履いてみて延長線からセンターを割り出す必要があります。かかとから真っ直ぐ垂直に、足に伸びる線を決めなければなりません。
足の形状と、靴の形状を組み合わせて大体のセンターを決めたら、実際に滑って微調整する事も大切です。特につま先部分は、ターンやスピンを正確に決める為には、必ず微調整が必要となります。その際には、あらかじめ鉛筆などで印をつけ、どのくらい移動させたかをわかるようにしておきます。場合によってはミリ単位の調整になります。
Q.ブレードの取り付けネジの穴がいくつか空いています。大丈夫でしょうか?
A.全部の穴にネジを挿さなくて大丈夫です。
ブレードの位置決めがまだ出来ていない、仮止めの状態の場合は、左右に位置を調整できるネジ穴だけを利用し、微調整をします。そのネジ穴だけの固定でも、ジャンプなど全く問題ありません。但し、長時間滑っていると、ネジが緩んでブレード自体がずれてきてしまいます。位置が決まったら、前後各1本で構いませんので、早めに固定ネジを挿します。これで通常は充分です。
ネジ穴がゆるくなってきたり、ブレードを付け替えたりする場合を想定して、ネジを打たないネジ穴を、必ず残しておきます。そうすれば、色々な状況にも対応でき、靴も長く使うことが出来ます。一度開けてしまったネジ穴は、そのままにしておくと水分が入り込み、靴が早く痛む場合も考えられます。開いた穴は、エポキシ接着剤と木の棒(割り箸を穴に合わせて、細く削ったもので充分)を使って埋めます。きちんと埋めれば、またそこに穴を開けることも可能です。
Q.フィギュアとホッケーでは、どう違うのですか?
A.基本は一緒ですが、途中から全く別物になります。
基本は全く同じです。初心者クラスの練習でどちらも上達できますが、途中からは全く別のものに変わっていきます。車で喩えるなら、同じプロでもタクシードライバーになるのか、レーサーになるのか、というくらい違います。
最大の相違点は、片足滑走か両足滑走か、という点です。フィギュアは原則として常に片足滑走です。対してホッケーは、常に両足滑走を意識します。この点から、両者の滑走が大きく分かれてきます。靴の構造から考えても、ホッケーは片足で滑走するように作られていません。逆にフィギュアは、片足で滑走する事が前提になっています。とはいえ、ホッケーでも片足滑走が出来れば、有利になる点も無くはなく、そうした練習に熱心な方もいます。フィギュアで両足といえば、練習段階では多用されます。そういう意味では、両者が補完する要素もありますが、しかしやはり、別物です。
両方楽しみたいという方でなければ、どちらかに専念するのが通例です。ただ、趣味として捉える向きには、ホッケーでスピンに挑戦する人もいますし、たまに遊びでホッケーシューズを履くフィギュア選手もいます。同じ氷上の趣味ですから、お互いに理解しあいながら、仲良く嗜みたいものです。
Q.フィギュアとホッケー、エッジの溝はどう違うのですか?
A.一昔前のホッケーは溝なしでしたが、今は溝を掘るのが通例です。
かつてはホッケーのエッジには溝がありませんでしたが、最近は溝を掘るのが通例です。フラットに乗る事を意図したものではなく、甘いエッジでも確実に氷に乗ったり、蹴ったりする為です。プレースタイルによっては、溝無しを好む方もいますし、深溝を好む方もいます。その選手の持ち味にも関わる部分で、セオリーと呼べるものはありません。言い換えれば、エッジの溝の多少も、ゲームを変える重要な要素です。
対してフィギュアの場合は、コンパルソリーなどでは溝無しのエッジを用いる事もありますが、やはり基本的には溝ありのエッジを用います。コンパルソリーで溝を嫌う理由は、溝が深いと軌跡に逆エッジの跡がついてしまうからです。溝がない事を利用するような技は、一つもありません。
Q.スピードスケートは、どうですか?
A.スピードスケートも基本は一緒です。やはり途中から別物になります。
スケーティングの基本がフィギュアと全く同じなのは、ホッケーと同様です。
スピードスケートの最大の相違点は、エッジにカーブがほとんど付けられていない点です。つまり、エッジワークという考え方そのものが、大きく異なります。さらに、エッジには溝がありません。フラットに乗ることは全くないと言って良いでしょう。常にどちらかのエッジに深く乗り続けるのが、スピードスケートの基本滑走となります。直進滑走でさえ、深いエッジワークを必要とします。あの独特なスタイルは、全てがエッジに深く乗るためのものです。手の振りや腰を低くして上半身を前傾させるのも、全てそこに結実します。
フィギュアやホッケーはバックが基本滑走ですが、スピードスケートに限ってはバックはしません。バックがついに覚えられなかった方が、結局スピードスケートに転向したという笑い話もあったりします。その速度にしても滑走方法にしても、他のスケート競技とは全く違います。
一般滑走ではスピードスケートを禁止しているリンクもあります。相対速度が非常に大きく、危険性が高いからです。また、トゥガードの装着が一般的に必須です。かかと部分が外れるスラップスケートというものもあり、こちらを禁止している場合があります。
ブレードの前部分が切り落とされたハーフスピードというシューズもありますが、これは一般リンクでの練習用という位置付けです。スピードスケートがブームだった札幌オリンピックの頃は、一般リンクでスピードスケートを楽しむ為のシューズとして、広く普及していました。現在はあまり見かけませんが、貸し靴として用意しているリンクは若干存在します。
Q.長い間スケートをしていません。久しぶりにやったら滑れますか?
A.スケートの滑り方は忘れる事がありません。但し、別の理由で滑れなくなるのが一般的です。
スケートの滑り方は、自転車や水泳と同じで、一度覚えれば一生忘れる事はありません。久しぶりの滑走でも、問題なく滑ることが出来ます。
その代わり、恐怖心と体力の減少の影響が顕著です。10年振りに滑ろうとする方の多くが、まず「怖くて滑れない」と感じます。滑り方も、その感覚も忘れていないのに、怖いのです。転べば怪我をするという、経験則が邪魔をします。それに合わせて、大概体力が低下しています。子供の頃のように、自由に駆け回れるほどの体力がないのです。その為、驚くほどの疲労感に襲われたり、筋肉痛を訴える事が多いです。それでも、滑走自体は忘れる事がありません。体力の問題を抜きにすれば、子供の頃に出来ていた事は、80歳になっても出来ます。滑走という運動は、小脳が記憶するからです。滑れなくなるのは別の理由です。
言い換えれば、体力があれば、恐怖心がなければ、いつでも同じように滑れます。恐怖心については、しばらく滑り続けていれば、遅かれ早かれ払拭されます。問題は、体力ですね。こればかりは年齢に伴うものもありますから、難しい側面もあります。しかし、基本滑走であればお年寄りでも楽しめるという事は、何度も申し上げている通りです。歩ける程度の体力さえあれば、一生楽しむ事が出来ます。
ジャンプなどは相当の体力が必要なので、その技術を維持するには、筋力を保つ事も重要です。日頃のトレーニングが欠かせませんね。スピンやターンは、基本滑走さえ出来れば体力は問題ではないでしょう。スパイラルなどは、柔軟性に関わります。これも、ある程度のトレーニングが必要です。歳を取っても自転車に乗ったり泳いだり出来るのと同様、バランス感覚は忘れませんから、スパイラルなども可能なはずです。つづく 24/06/13 16:36 更新
鍵の救急車 橋本シルク工芸 エコプリンティングサッポロ ギフト